2013年3月14日木曜日

6才のくっきりした目のクマ

6才の女の子です。
目の充血が繰り返し起こり、よく目をこする、近くの眼科ではアレルギー性結膜炎と言われて治療しているが、目薬をもらってつけると一時的に良くなるが、目薬を止めると再び充血する。
特に春先など季節の変わり目にはこの様にひどく目薬をつけても改善しない。何か別の病気ではないかと、心配でセカンドオピニオンを求めて来院しました。

6才の女の子です一緒に付き添ってきたお母さんに「お母さん、お子さんの目のクマ気になりませんか?」と聞くと、「睡眠不足ですかね~」と、母親も気になるのですが「体質だから仕方がない」とか「アレルギーの子供達はこすることで色素沈着が起きる」「アレルギー性結膜炎ではよくあること」と、眼科や小児科でドクターに相談しても、殆ど取り合ってくれないのです。

さて、ではなぜこんな低年齢の子供達に、今この様なひどいクマがあるのか。
2才3才からクマがはっきりしている子供が大勢います。

その理由は目の周りの筋肉すなわち眼輪筋の筋肉の動きの悪さなのです。

身体中のすべての筋肉は収縮、弛緩を繰り返します、たとえば上腕二頭筋を例に取ると、腕を曲げれば筋は収縮し腕を伸ばせば弛緩し筋肉も伸びます。この収縮したとき筋肉内の毛細血管内の静脈血が筋肉の圧力で積極的に静脈側へ圧出されるのです。

「足腰の筋肉は第2の心臓」と言われていることをご存じでしょう、目の周りの眼輪筋も同じです。

眼輪筋が毎回毎回のまばたきの時にしっかり収縮して閉じていれば眼輪筋内の血行不良は起きるはずがないのです。

ネットで「目のクマ」を検索すると「目の周りの皮膚はとても薄いから静脈血が透けて見える、そのため血行不良、疲れによる鬱血、睡眠不足による鬱血などが目立つのである」と書いてあります。

 




あながち間違いではないのですが、眼輪筋の動きをよくする以外根治療法はないのです。

医局でプレゼンテーション、忘年会

医局でプレゼンテーション

12月15日順天堂大学の医局の忘年会がある。
若いときは何度か出席したのだが、この10年近く、面倒になって参加しなくなった。

ところが医局の後輩のドクター(開業医)が私の著書「ドライアイは自分で治す・・・・」を見てこれはおもしろい、是非医局でプレゼンテーションをと年に2回行われる合同症例検討会(現役の医局員と医局の卒業生、大学院から教授になった先生達も含めてという意味の合同)で話してくれと言うのです。

普通は現役医局員の学会発表のトレーニングの場であり、大学を離れた先生達のそれぞれの場での最先端の研究発表の場なのです。

私のようなロートルが出る場ではないのですがドライアイは現在混沌としたところにあるのです。
「一石を投じる」というつもりで話すことにした。
私はいわゆる晴れの舞台での発表は面倒なのと昔はスライド作成や論文の清書が大嫌いで医局時代は症例発表ですらいつも逃げ回り演題に立ったことがない、緊張しています。
 医局の先輩後輩40人近く集まっています。現教授、元教授、他大学の教授経験者等々そうそうたる顔ぶれです。


症例検討会の後は場所を変えて忘年会。私入局した時代の前前教授の中島章名誉教授(真ん中)と記念写真。
外はクリスマス前、昔飲み歩いた渋谷をぶらつく。

流行性角結膜炎後の点状表層角膜炎による混濁

流行目後の角膜混濁の回復にびっくりしたので一寸見てください。

この様なEKC(流行性角結膜炎の略)の治癒後の角膜混濁は「時間経過で薄くなるのを待つ」以外手がないと言うのが、我々眼科医の常識です。これまで40年そのようにしてきました。

ところがこの症例はわずか5週間でほぼ完璧に混濁が消失したのです。

この方マイボームを診ると明らかな機能不全があるのです、以前から眼精疲労があり、隠れドライアイなのです。

そこで私は「ドライアイの治療を念のためにやりますか、・・・・・それで治ると保証は出来ませんが」と提案しました。

治療法は、
1)マイボーム腺内部の詰まった油を圧出する。(私のYouTubeチャンネルに動画)
2)リンデロンA点眼薬+タリビッド点眼薬1日4~5回点眼
3)クラリス200mg2錠朝晩×3週
4)瞼を温める

その経過です。
写真がなければどのドクターも「嘘でしょう・・・・・そんな2ヶ月も経った表層角膜炎が3週間やそこらで消える、信じられないね」と取り合ってくれないでしょう。

私自身「先生なぜ治らないと言われたこの濁り治ったんでしょうね?」と聞かれて説明に窮しました。

「瘢痕状の点状の白くなっている部分は、実は瘢痕ではなくて、薄い汚れが張り付いている、と言う状態なのでしょうか?病理学的に我々の今までの考えが正しく無かったのでしょうね」