2020年1月15日水曜日

ヤフー知恵ノートの「ドライアイの説明」

 ドライアイとマイボーム腺機能不全(MGD)

    ・・・・そのスタートは瞬目不全

知恵ノートにはドライアイや目のクマについて私が投稿した文章がいくつかあって、目のクマについては50万回以上のアクセスのある、結構読まれたノートである。
ドライアイについても26万回以上である。

ヤフーのQ&Aでは繰り返しその知恵ノートを読むようにお返事していた、その知恵ノートが終了するのはもったいないので此処に編集しアップします。
以下、知恵ノートのコピー「ドライアイは自分で治す」を御覧くださいURLは以下です。

以下知恵ノートを先日編集した文章です。
私の職業は眼科診療所の開業医です。
(以下を読むと、多分このブロガーは医者が書いたらしいと思っていただける、と思ったのですが最近は、ブログのトップの自己紹介も開かずに、ここだけ読む方が多いようなので、少なくともこれは眼科医が書いたものであって、怪しげな情報ではありません。念の為、年齢は平成30時点で75才です)

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 ドライアイは自分で治す>>知恵ノート<<

       ライター:hideoishikawa66さん(最終更新日時:2017/1/29)投稿日:2012/2/26
               ナイス!:63、閲覧数:272137  (2017/10/05時点のカウント数)

  ドライアイとは!

疲れ目、眩しい、目の違和感、異物感、目がしょぼしょぼする、目が乾く、悲しくもないのに涙目になる、時々痒くなる、目をこするなどなど、いわゆる「眼科的不定愁訴」を感じませんか?そのような自覚症状で眼科で診てもらっても、『目に傷がちょっとあるけど大したことではない、目薬で様子を見ましょう』と軽くあしらわれたことがありませんか。
ドライアイの多くの人たちが「軽い結膜炎」「疲れ目」あるいは「異常なし」で済まされているのです。
 仮に運良くドライアイという正しい診断名にたどり着いたとしても、正しい治療がなされていないのです。
 『ドライアイは慢性疾患で治る病気ではありません、点眼薬で症状を軽くしてQOLを改善する以外、良い方法はありません。かなりひどくなると涙点プラグという簡単な手術で良くなります』
これがどこの眼科でも説明している一般的なドライアイの治療法です。

「ドライアイ研究会 」下記URL参照してください。http://www.dryeye.ne.jp/dryeye/index.html#1

もう一つ
「日本眼科学会」日本で最も権威ある学問的眼科学会(大学教授などが牛耳っている)です。下記URL、ドライアイの説明です。
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_dryeye.jsp

もう一つこれは「日本眼科医会」上記学会とは違い、此処は主に眼科開業医の集まりで主として臨床的なこと保険医療や医療界の政治的なことに関わっている団体です。
http://www.menokenko.jp/htmlbook/dryeye/index.html
此処も分かりやすく解説しています。

しつこくもう1ヶ所、これは慶應大学眼科教授、日本のドライアイの最高権威坪田一男教授の主宰している眼科教室の見解です。
まばたきのことマイボーム腺の事ほとんど触れていません。
慶應大学病院眼科のドライアイについての説明です。
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=5&cad=rja&ved=0CE0QFjAE&url=http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000193.html&ei=i-PNUsj_BcfIlAWI-oGgCg&usg=AFQjCNFenoU972vpTp56LpUrmxSqggpIzg&sig2=BQ-9fGGwo4V8ck8oGDNv9A

ところがこれはドライアイの発症に関して正しくない(と私は思っている)のですが、今のところドライアイ研究会自体も日本眼科学会も、その発病の始まりを理解していません。基本的に「涙の量の不足」がドライアイの始まりと言っています。
では、なぜドライアイになるか?

MGD(マイボーム腺機能不全)

2012年に「世界マイボーム腺機能不全(MGDと略する)研究会」がレポートを発信しています。特に興味のある方は。ぜひご一読下さい。(原典は英文ですが世界7カ国語に翻訳されています)

www.tearfilm.org/mgdreportjapanese/index.html
それによるとドライアイ発病の最大のリスクはMGDであると結論しています。
※しかし、このレポートにも「なぜMGDが発症するか?」と云う事については加齢やホルモンバランスの老化によるものだろう、正確なことは今後の研究に期待する、と云う様な記載です。
※MGDの始まりは瞬きがきちんと出来ていないこと、眼輪筋が正しく動いていないこと、なのです。
「瞬目不全」←YouTube画像です。すなわちまばたきが不完全なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=7wK3AeX64BU

※1 不完全なまばたきをすることで、閉じない部分が乾燥します。
※2 涙が目の表面に均等に広がりません。
※3 涙の排水が悪くなるので涙は溢れてきます。
※4 マイボーム腺腺体に外圧がかからないので油が滞留します。
※5 油がないので乾燥がよりひどくなります。
不完全なまばたき(瞬目不全)は眼輪筋の筋力低下による動きの悪さが始まりです。


その結果

※涙液クリアランス(涙を入れ替えることです)が悪くなります。
※涙がまるで雑巾バケツ状態になるのです。
※下まぶたのマイボーム腺に圧がかからず油詰まりが起きます。→詰まった油は劣化してドロドロ状そして練り歯磨き状になります。→油不足で涙がどんどん蒸発します。

瞬目不全が悪循環の始まり

瞬目不全→MGD →ドライアイ

これらのことがすべてのドライアイの始まりです。

この不完全なまばたきを始まりとして「結膜の充血」「アレルギーのようなかゆみ」「マイボーム腺機能不全」「マイボームの油の詰まり」「涙目」「角膜の傷」「涙液減少症」「違和感」「異物感」などさらに進行すると「目の奧の痛み」「頭痛」「吐き気」等々様々なドライアイの自覚症状や異常が出てきます。

ドライアイの検査と称して行われる「シルマーテスト」「角膜染色」「BUT検査(涙液層破壊時間 )」 などの検査も、瞬目不全を起点として始まる二次的な病変を診ているだけで、かなり進行した、具合の悪いドライアイの他覚的所見をみて議論しているのです。

ドライアイの初期には角膜には傷も出来ていません、フルオでも染まりません。
涙の量もシルマーテストで正常値です。
悪循環が進行しこれらのテストが陽性になります。

はっきり言って意味のない検査です。   
初期のドライアイはこれらのテストで「異常なし」と断定されます。

自分の目をビデオに撮ってみて見ましょう!


不完全なまばたき、すなわち「瞬目不全」は自分自身でデジカメのムービーで目をアップにして写真を(動画ですよ)撮りスロー再生するとわかるのですが、一般的に眼科医はそのような動画で「まばたきの様子を見る」と言うような検査をする習慣がありません、眼科専門医(ドライアイ外来)と看板を上げている眼科の専門医でさえ、まばたきの正確な動きは見ないし、マイボーム腺も殆ど触らないのです。
(眼科医、それも「ドライアイが専門です!」と看板に出しているドクターでさえ、まばたきは閉じているのが当たり前という先入観で見ているので、よほど酷い瞬目不全には気が付いても、軽い不全は目視では判定できません。スロー再生が必要なのです)
なぜなら、この2件の検査は保険点数が設定されていないので、ビデオで「まばたき」の検査を5分間かけてじっくり見ても、マイボーム腺の検査をしても、点数が稼げ無い(基本的な細隙灯顕微鏡検査の一部)ので無駄だからです。
マイボーム腺機能不全は中高年の加齢によるものだとか、あるいは加齢によるホルモンバランスの異常と書かれていることをよく見かけますが、なんと6才の子供達にも大勢いるのです、加齢だけでは説明できません。
   6歳の子供の症例です。(ものもらいが出来たと云う訴えです)
以下のYouTube画像を参考に・・・・・(6歳のマイボーム腺で検索)

https://www.youtube.com/watch?v=_NevFTyWK6g
眼輪筋の動きの悪さです、眼輪筋、中でも下眼瞼の眼輪筋が目頭側に引き込まれない、まるで顔面神経麻痺の様な、下まぶたが全く動かない瞬きをしているのです。
マイボーム腺分泌物の油を押し出す力は、上記レポートに「マイバムが排出口から出るのはもっぱら搾乳運動であろう」と書かれています。
※すなわち「まばたき(瞬目)のときに眼輪筋が閉じる方向に締め付けるような力」だと言われています。その閉じる力が弱すぎるのです。まるでベル麻痺の様な動きの悪いまばたきなのです。

YouTubeで「ドライアイ」「マイボーム腺機能不全」「瞬目不全」など検索して見てください。

治療法は、この「まばたきが きちんと閉じられるようになる」こと、
および、「マイボーム腺の詰まったどろどろの油」を何とか解消することにつきるのです。
具体的には以下の2点につきます。
※1「眼輪筋の筋トレ」・・・下のリンクをクリックして見てください。
※2マイボーム腺圧出、腔内の固まった油を繰り返し圧出すること。
「ドライアイは自分で治す努力で治る」
上記三項目をキーワード検索して読んでください。
目薬はあくまでも角膜の乾燥を一時的に潤すだけの、単なる対症療法です。
対症療法だけでは治るわけがない!

目薬(人工涙液、ヒアレイン、ステロイド、ジクアス、ムコスタ等々)は自覚症状を抑えるだけの単なる対症療法です。それだけで治るはずがありません。
※YouTubeの眼輪筋筋トレの方法です。
https://www.youtube.com/watch?v=zVrobK-bVoQ&list=UUxTLp-zqXJ-KDFlyp-aLuuA&index=3&feature=plcp

解りやすく、たとえ話をします。

※たとえ話※
 足腰の筋肉が弱って、ちょっと歩いただけでよろよろ転ぶ人がいます。この様な人にすぐに歩けるようになる飲み薬はありません。足腰の筋肉を鍛えなければ良くなりません。転ぶのを防ぐためにこの人にすぐに車椅子を勧めますか? 
いや、まずやるべきことは足腰の筋トレではないでしょうか。
ドライアイに点眼薬だけの治療というのは、単なる対症療法であって、この様な人にすぐに車いすを勧める様なものです。
足腰のリハビリ、すなわち足腰の筋トレが根治療法です。 眼輪筋の筋トレが必要なのです。

治療中の眼科で以下の質問をしましょう!

眼科で担当の先生にこの様な質問をすることです。
※「油不足のドライアイ、ということをNHKで見たのです。」
「マイボーム腺の油のことをテレビで見たのだが、私のマイボーム腺の油はどうなんですか?」
https://www.youtube.com/watch?v=Hb1wvBKYKdo&feature=player_detailpage

※「まばたきがきちんと閉じないのでドライアイになる、てことも言ってましたが、私の目はどうなんですか?」  この質問にきちんと答えられるドクターは少ないでしょう。

「 LIME研究会」について

ドライアイ研究会の中でも特に、眼瞼及びまぶたの縁から分泌するマイボーム腺の油とそれを起因とする眼球表面の疾患に特に興味を持っているドクターの集まりです。
ここでも最近やっと、マイボーム腺機能不全(MGDと略します)の重大さに気がついて、「マイボーム腺圧出という治療」をそれぞれのクリニックで実施しているか、アンケートを取り始めています。(私もその会員の一人です)
lime研究会←検索してください。
http://www.lime.jp/

マイボーム腺機能不全(MGD)について

MGDについては詳しいレポートが世界MGD研究会から最近発表されています。
ドライアイ発病の最大のリスク(原因の80%以上)はこのMGDであると明記されています、しかし、日本の眼科医はまだこのことを無視し続けています。(前出再掲)
www.tearfilm.org/mgdreportjapanese/index.html
とても詳しく、事細かに記載され学術用語が頻出し、専門科でさえ読みにくいのですが、興味のある方は是非ご一読ください、これを読むと、ドライアイやMGDに関しては、普通の眼科医より専門的な知識を持つことになります。

LipiFlowについて

LipiFlow←YouTube画像をご参考に
LipiFlowと云う米国発の最新医療機器について
先日(2015/01/08)テレビ番組の「予約殺到凄腕専門外来」と銘打って多くの人が悩んでいる、腰痛、膝痛、肩こり等の専門医とその治療法、自分で治す方法など及びドライアイの最新治療として紹介されていたのをご覧になりましたか?
ドライアイについては保険適用できないので片目1回3万円(両目だと6万円です?少し前までは片目6万円と書いてあった様ですが)なのだそうです。

器械の原理はまぶたを温めてマイボーム腺の詰まった油を圧出する、これをすべて全自動でコンピューターでやるというのです。
マイボーム腺圧出という治療は現在処置として認められていません(そのような治療法では治らんよというのが学会の考え方です)、圧出直前に「まぶたを温める」と云う行為は「温罨法」と呼ばれる古くからの眼処置で250円が設定されており、私は圧出直前にまぶたを温めることで1回両眼250円で治療しています(もちろん保険適用で250円の3割負担で、75円が窓口負担金です)。
もちろん、1回で治るものではありません、毎週毎週何回も繰り返さないと詰まった油は改善されません。
また、下に貼り付けたYouTube画像のような練り歯磨き状に固まった油はその器械では全く出てこないと思いますが・・・・・ただし、私はそのLipiFlowと云う器械は、見たことも試したこともないので、見もせずに批判するのも問題なのは承知の上です。
https://www.youtube.com/watch?v=Hb1wvBKYKdo

※追記します。メーカーの代理店が是非LipiFlowを使って見てくださいと、初めから買う気がない、とお断りしたのですが、わざわざ遠い沖縄までその器械を持って来たので試しに使って見ました。
 案の定、器械で油を絞り出した後、私が綿棒で圧を掛けると多少油が出るのです。
手で絞るのと比べてより具合が良いという評価は私には出せませんでした。
その上、1回のディスポの部品が片目について6万円というのです。
沖縄にはそのように大金を掛けられる患者さんはあまりいません。
 ぜひLipiFlowについて検索をして南○○アイクリニックに問いあわせてください。
(テレビで紹介されていたので伏せ字にする必要もなさそうですが・・・・・・)
LipiFlowについてのYouTube動画です。ご参考に
https://youtu.be/xbjHCK9L9RA

 IPL治療について

最近MGD(マイボーム腺機能不全)の治療に、上下眼瞼周辺をIPL (インテンスパルスライト)で刺激してマイボーム腺の分泌する油(マイバム)の質が良くなる、という報告が有るのですが、ネットで「IPLとMGD」をキーワードで検索すると動画などが出て来ます。YouTubeにどなたでも見れますので、この動画はかの有名なメイヨークリニックです。ご参考に。
https://www.youtube.com/watch?v=8SFaErUrk60

この機械も私は試したことがないので、本当に効くか疑問です。
IPLは肝心なマイボーム腺には照射されていません。
※日本国内でこのIPL治療を数回受けた患者さんが『この治療でマイボーム腺は90%回復しています』と断言されたそうですが、自覚症状はちっとも良くならずに私のクリニックに来院したのですが、マイボーム腺は練り歯磨き状でひどく詰まっていました。
※この方の後日談です。
関東地方にお住まいの女性で沖縄まで通院は不可能です、それで関東地方の開業医で信頼できる先生に圧出を繰り返しお願いしますと紹介しました。この先生はIPLも今のところ無料で行い、そのうえ圧出を毎週繰り返しやって戴いた、(およそ4か月)すると劇的に自覚症状は安定したのです。4ヶ月ぶりに沖縄にご主人とゴルフにいらっしゃってくださいました。自覚症状を点数で表現すれば沖縄に来た当初9~10だったのが、現時点では3~4というのです、まだ練り歯磨き状なのですが自覚症状はうんとよくなっているのです。

Maskin probeによる治療

私は時々ネットでドライアイの新しい治療法に有意義なのがないのか検索をします。
最近見つけたのがこのmaskin probeと云うこれもアメリカ発の治療法です。
何をするのか、マイボーム腺の開口部が狭窄して詰まっているので、この狭窄を解除するために、マイボーム腺開口部を電気針で焼いて油を出やすくしよう、と云うのです。
※maskin probe←YouTubeの動画検索してください。
この治療法は今の所日本では治療として認められていません(医師個人が自己責任で患者さんの了解を得て自費でやるには良いのでしょうが・・・・)
効果がありそうです、しかし電気で焼いたら小さな孔はすぐに塞がりそうです。

「マイボーム腺開口部の詰まり解消にステントを入れる」というアイデアは私の著書に書いてあるのですが、人体実験などと非難されそうで、まだやったことはありません。


そして、多くの眼科医が「マイボーム腺機能不全は加齢現象です、年寄りの病気です、若い人にはいませんよ」 と言うのですが、この画像は30才の女性です。

https://www.youtube.com/watch?v=Hb1wvBKYKdo&feature=player_detailpage
NHKの ガッテン「目の疲れ・新癒やしワザ」
         ・・・・2020年7月22日放送
NHKの「ガッテン」という番組で、まぶたとマイボーム腺、その油の働き、ドライアイや疲れ目のガッテン流解消法の放送があるというので期待して録画してじっくり見ました。

LIME研究会の旗振り役の有田玲子先生が自ら出演し、大々的な検査チームを組んで、長崎県の離島にまで出張検査を数日かけて撮影したという、鳴り物入りで前評判がありました。

なにか新しい事があるかと期待したのですが・・・・・・。

残念ながら新しい知見は皆無で私はがっかりしました、なぜか。

※油不足のドライアイについてはすでにご本家のNHK の「ためしてガッテン」ですでに放送されており、「涙の不足がドライアイであると言われている」のだが調べた結果、「ドライアイの70%以上は実は油不足である」ということがわかった。
マイボーム腺機能不全、まぶたを温めることの重要さを放送されています。
このことは「ためしてガッテン」をまとめた出版物にも明確に記載されていました。

  ※確認すると
   2003年12月3日放送・・ためしてガッテン乾き目ドライアイの「意外な真犯人」
   2009年9月2日発行・・目の病気の過去放送分のまとめた「目の若返り超常識」。

この放送の内容で、マイボーム腺機能不全の原因は、1、コンタクトレンズ 2、パソコン 3、加齢であること 4、脂っこい食生活、これらが原因だというのです。 
しかも、温めることでマイボーム腺が復活する?ことなど私に言わせると問題だらけの内容であった。

まあまあ、バラエティー番組なのだから目くじら立てることもない、と思うのだが・・・・。このくらい間違った番組が天下の大NHK で放送されると私の意見なんか誰も聞いてくれなくなる。(トホホ・・涙涙・・・・・)